2019年10月27日(日)に大阪大学中之島センター佐治敬三メモリアルホールで行われた審美歯科BTA研究会スペシャルセミナー「生体組織に優しい審美的歯周補綴テクニックの臨床と理論」に参加しました。
近年、教科書的な歯の形成法(歯の削り方)の欠点を補う新たな形成法が注目されています。具体的には、BTA(Biological Tissue Adaptation)テクニックや行田先生提唱のS shape profile、イタリア発のB.O.P.T.(Biologically oriented preparation technique)テクニックといった形成法があります。それぞれのテクニックには独自の特徴がありますが、その本質には多くの共通点があると考えられます。
天然歯の補綴(被せ物)とインプラントの補綴(上部構造)には大きな違いがあります。天然歯に被せ物をする場合は、元の歯の形に近づけるよう伝統的に考えられていました。しかしインプラントの上部構造の場合は、歯肉の形をコントロールすることも含めて上部構造の形をデザインしていました。新たな形成法というのはこのインプラントの補綴の考え方を天然歯の補綴に応用するようなものだと考えられます。過去の経験からこの考えには違和感はありますが、確かに臨床的には問題ないと考えられます。
今回のセミナーでは、病理学的な理論的背景として東京歯科大学名誉教授の下野正基先生によるBTAテクニックのポイントである歯肉上皮の接着とターンオーバーについての解説がありました。また演者の先生方による実際の臨床例の発表の中で、今まで疑問にも思わなかった生物学的幅径(biological width)に関する新しい考え方についても学びました。
これらの新たな形成法は、伝統的な形成法のデメリットを補う多くの可能性を秘めています。低侵襲な処置で歯肉の形態をより審美的にコントロールすることを可能にし、今までは生物学的幅径を満たせず抜歯せざるを得ない歯までも保存することを可能にし、さらには一度治療した歯を経年的な変化を最小限とし長期に渡り安定させることを可能にします。
当院ではこのような形成法を積極的に取り入れていきます。ケースによって適応かどうかが判断されますので、ご興味がある方はお気軽にご相談ください。
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