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床矯正(小児矯正)のススメ

 床矯正とは小児矯正に使用される矯正装置(下図)の1つです。その歴史は古く1836年のKongsley.N.Wにまで遡ると言われ、ヨーロッパを中心に広く行われている治療です。

(上図)床矯正装置による拡大治療前(左)と治療後(右)

 なぜ?からはじまる床矯正治療のQ&A 監著 鈴木設矢 著者 大河内淑子 他より引用

 

【7歳までに治療をスタートし9歳までに治療を終えることが大切】

 一般的に矯正治療と聞くと期間や費用がかかるイメージがあると思います。確かに永久歯に対する矯正治療はその通りかもしれませんが、床矯正はそうではありません。床矯正は適切な時期に適切な方法で行えば、ある程度の短い期間と費用で治療が可能です。そのためまずは小学校入学前後に歯科医院を受診し、歯や顎の成長の具合を診てもることをお勧めします。

 

【まずはお子様の歯並びを見てみましょう】

 いかがでしょうか?生え変わりの時期のお子様の場合、前歯だけの歯並びが悪いことが多い(叢生の70%が前歯部に限局)です。そのため問題が4本の前歯だけにある時期に治療を開始し、乳歯の犬歯が抜ける前に終えることができれば、それほど難しいことをせずに歯並びを改善することができます。

 具体的には犬歯が生える前の小学校低学年である7歳までに治療をスタートし9歳までに治療を終えることができれば理想的です。ただし受け口(下顎前突)は6歳までに治療するとをお勧めします。この時期を逃し、骨格性に移行した反対咬合や開口の症例、そして犬歯が生えてきて問題が前歯だけでなく奥歯にも及んだ複雑な症例は、床矯正だけでは解決できない全顎的な治療が必要となる場合が多くなります。

 

【予防歯科としての小児矯正】

 お子様に対する予防歯科は虫歯や歯肉炎を防ぐでけでよいのでしょうか?このブログを読まれている方はそれだけではないと考えていると思います。当院は虫歯や歯肉炎を防ぐことに加えて、適切な顎の成長を促し不正咬合や咬合異常を未然に防ぐこともお子様への予防歯科であると考えています。しかし実際に矯正治療を行っている人は決して多くありません。54%の人に不正咬合があると言われていますが、実際に治療しているのは7.2%というデータもあります。では、実際の床矯正治療とはどのようなものなのでしょうか?

 

【床矯正治療の内容】

 口腔機能が正しく働けば、歯や歯列は正しく並びます。これが床矯正の基本的な考え方です。咬合学の権威であるPeter.E.Dawsonも「歯と筋が争うと勝つのはいつも筋である」と述べています。つまり、歯や歯列というのは口腔周囲の筋肉よって位置を定められているということになります。成長過程にあるお子様の場合は、その口腔周囲筋を正しく機能させるよう促すことが治療の中心となります。これは以前紹介したMFT(口腔筋機能療法)に繋がります。

 原因療法をコンセプトとしている当院では、まず「歯列不正の原因は何か?」を考えます。歯列不正には以下の原因があります。

 40%:顎の発育不足、歯列の狭窄

 40%:口腔習癖、体癖

   ・お口ポカン、唇咬み→上顎前突

   ・頬杖、顎押し、奥舌→下顎後退

   ・泣きぐせ、間違ったうがい、低位舌→下顎前突

   ・指しゃぶり、爪咬み、舌前突癖→開咬

 20%:歯の位置異常、歯の先天性欠損、過剰歯

以上のような原因を分析するのが我々歯科医師の責務です。

 そしてこれらの原因に対する治療は以下の2つです。

 ①バイオセラピー

  食事環境の見直し(食育)や悪習癖の改善(MFT)が治療のメインとなります。これにはお子様だけでなくお家の方の積極的な協力が必要不可欠です。

 ②メカニカルセラピー

  取り外し可能な装置(上図)等を使用したあくまで補助的な治療のことです。

以上の治療により顎骨が正しく成長し、表情筋も機能するようになれば、お子様たちは表情豊かな顔貌へと導くことができます。さらに舌が正しいポジションにあれば、近年歯科で注目されている気道の確保にも繋がります。

 

【より良い笑顔へ】

 お子様の予防歯科は、虫歯や歯肉炎の予防に加えて、より良い笑顔へと繋がる小児矯正があると考えられます。そしてお子様の歯列のために今日からお家できることを最後にご紹介します。

 ①背筋を伸ばした正しい姿勢を促す

 ②お口ポカンや頬杖等の癖を改善する

 ③前歯で噛みちぎったり、かぶりついたりして食べるような大きな食べ物を出す

 

 最後まで目を通していただき誠にありがとうございます。一番最初に述べたように、お子様の矯正治療は7歳までに治療をスタートし9歳までに治療を終える(受け口は6歳までに治療する)ことが大切になります。是非小学校入学前後に歯科医院を受診してください。宜しくお願いします。また矯正治療は気になった時がスタートでもあります。ご年齢に関係なく、歯並びが気になった場合はお気軽にご相談ください。当院と一緒に咬合育成を始めましょう!

 

 ※ 当院の歯科医師(赤嶺、多田)は日本床矯正研究会の会員です。

 

 

 

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2020/09/05:ブログ『MFT(口腔筋機能療法)のススメ

2021/01/02:ブログ『床矯正のススメ』

・2021/01/02公開

・2021/02/21更新

・2021/02/22更新