2022年7月31日(日)、NPO法人埼玉インプラント研究会主催の(公社)日本口腔インプラント学会認定講習会(インプラント100時間コース)7日目に、赤嶺と多田が参加しました。
7日目となる今回は、金子貴広教授(埼玉医科大学総合医療センター歯科口腔外科)による口腔外科領域におけるインプラント治療と移植材を用いないサイナスリフトに関する講義と、小澤重雄先生(埼玉インプラント研究会)によるNobel Biocare社(ノーベルバイオケア社)ブローネマルクインプラントシステムに関する講義と実習を行いました。
金子貴広教授の講義では、まず口腔外科領域でのインプラント治療の2大疾患である顎顔面外傷と顎骨腫瘍の広範囲顎骨支持型補綴について症例とともに学びました。さらに歯牙喪失後の歯槽部の変化について文献を参照し、上顎前歯部審美領域における抜歯即時埋入について学びました。上顎前歯部唇側の歯槽骨は解剖学的に薄いことに加えて、抜歯により歯根膜より栄養されている束状骨が喪失することにより、歯槽骨が細くインプラント埋入部位としては条件が厳しくなることが多いです。そのため抜歯後、歯槽骨が吸収され骨の条件が悪くなってからインプラントを埋入するのではなく、抜歯と同時にインプラントを埋入することで歯槽骨を保存するよう努める必要があります。
次に、移植材を用いないサイナスリフトについての講義を受けました。赤嶺や多田が修行した医院でもサイナスリフトは移植材を使用せず、それを”エアサイナス”と表現していました。このエアサイナスに対し、文献的な裏付けを得られたことは大変有意義でした。サイナスリフトで問題となるのは、上顎洞前壁を走行する後上歯槽動脈の出血です。この後上歯槽動脈をピエゾサージェリーで止血する方法を学びました。また隔壁がある場合の窓開けの仕方を学びました。移植材を用いないサイナスリフトは感染の可能性が移植材を使用する場合より低いため、当院でも積極的に取り入れていきたいです。
小澤重雄先生の講義では、ノーベルバイオケア社のブローネマルクインプラントシステムについてインプラントの基礎から講義を受けました。インプラント治療の適応症から禁忌症、患者さんの健康状態の分類であるASAスコア、骨質の分類(Lekholm&Zarb)、オッセオインテクレーションの概念について学びました。
ノーベルケア社のインプラントシステムを実際に模型に埋入することで確認しました。特に興味深かったのは、最新のインプラントナビゲーションシステムであるX-Guide(エックスガイド、リアルタイムの3Dガイダンスによるフリーハンド・サージェリー)に実際に触れることができたことです。当院では現在、ガイデッドサージェリーを積極的に取り入れていますが、今後はX-Guideのようなガイドシステムが求められると思われます。
より安全により正確にインプラント治療ができるよう今後も引き続き研鑽を積んでいきます。
【 2022年(公社)日本口腔インプラント学会認定講習会 】
インプラント100時間コース① 4/3:『インプラントの材料学』
インプラント100時間コース② 4/24:『インプラントのリスクマネージメント・インプラント治療における適応拡大』
インプラント100時間コース③ 5/8:『インプラントの解剖学』
インプラント100時間コース④ 5/29:『インプラントのティッシュマネージメント』
インプラント100時間コース⑤ 6/19:『CTとマイクロスコープの応用・メンテナンス』
インプラント100時間コース⑥ 7/10:『トラブルシューティング・画像検査と診断』
インプラント100時間コース⑦ 7/31:『口腔外科領域のインプラント・移植材を用いないサイナスリフト・ノーベルバイオケア実習』
インプラント100時間コース⑧ 8/28:『下歯槽神経障害を避けるための診断と手術法(ナビゲーションシステム)・保険でできるインプラント治療』
インプラント100時間コース⑨ 9/11:『長期安定性を考慮した包括的治療・上顎洞へのアプローチ』
インプラント100時間コース⑩ 10/16:『京セラFINESIAインプラントの特徴と術式および模型実習』
インプラント100時間コース 11 11/13:『学会資格のキャリアパスと専門医が知っておくべきこと』
インプラント100時間コース12 12/4:『注意すべき全身疾患と緊急時の対応』
インプラント100時間コース13 1/15:『ストローマンインプラント』
インプラント100時間コース14 2/5:『インプラントオーバーデンチャー・上部構造のトラブル&リカバリー』
インプラント100時間コース15 3/12:『論文、申請書の書き方・インプラント治療のリスクマネジメント』
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