2022年10月8日、9日に目白歯周病研究主催「2022年臨床家のための実践ぺリオセミナー」に参加しました。今回は全6日間コースのうちの2日間で、歯周病学の基礎である初診〜カウンセリング〜歯周基本治療(SRP実習)について学びました。歯周病治療は歯科治療全ての基礎です。歯周病がコントロールできなければ、その後に質の高いセラミックの詰め物やジルコニアの被せ物をしてもインプラントや金属義歯を入れても長期的な安定は得られないと考えます。
最初に、正常な歯肉の解剖学から始まり、異常が起きた場合あの変化について臨床所見から学びました。普段何気無く触れている歯肉に起こる変化を組織学的な見地から理解することは大変有用です。血液供給と歯肉退縮の関係が理解できれば、より適切な外科(審美歯周外科)が可能となります。やや専門的な話になりますが、2018年に歯周病の分類が変わりました。今まではAAP分類というものが使われていましたが、現在はステージ(重症度や治療難易度)とグレード(進行度と歯周病の治りやすさ)を使用し分類を行います。また歯周病菌の成り立ちや感染経路を理解することで、小児期から予防の方法も改善できると考えいます。
皆さんもご存知のことと思いますが、近年、歯周病と全身疾患との関係性が次々と明らかになっています。特に歯周病と糖尿病の関係は注目されています。どちらか片方を治療してもなかなか結果が出ないようなケースも、共に治療をすることでより良い結果に導かれることがあります。歯周病治療により血糖値を上げるサイトカインであるTNF-αが下がることで、HbA1cが下がると考えられます。
今回のセミナーは「実践」とついているだけあって、著名な先生の治療の実際を下の歯周治療の流れ(①〜④)を通して学ぶことができました。
① 応急処置(主訴の改善)
② 精密検査
③ カウンセリング(第1回治療計画)
④ 歯周基本治療
⑤ 再評価(第2回治療計画)
⑥ 歯周外科処置
⑦ 補綴修復処置(機能回復)
⑧ メンテナンス
まず① 応急処置(主訴の改善)では、患者さんへの歯周病の説明の仕方から始まり、そのモチベーションの維持の方法について学びました。さらに②では、問診、視診、触診、染め出し、歯周ポケット測定、デンタル写真撮影(14枚法)などから診断を行うことを学びました。特にブロービングの方法は、目から鱗で明日からの診療が大きく変わると確信が持てました。どうしてもデータに頼りがちですが、我々歯科医師は目の前の患者さんをしっかり診て、その診断の裏付けとして検査を行なうことが重要でした。
最後にSRP(スケーリングルートプレーニング:歯石や感染物が付着した歯根を滑沢化する処置)の実習を行いました。普段は歯科衛生士さんにお願いしているSRPですが、実際にやってみると難しく、正しい方法を自分で理解することで、適切に衛生士さんに指示を出せることがわかりました。本コースは全6日間なので、まだまだ終わりませんが、今後の内容も楽しみです。今回得た知識と技術を院内で共有し、より良い医療を明日から地域の皆さんに提供できるようスタッフ全員で準備したいと思います。
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