· 

当院でのダイレクトボンディング

前歯部審美症例 No.1

・治療前

・治療後


 上顎前歯部の審美障害を主訴に来院された患者様です。ダイレクトボンディングの長所である即日修復にて、1回の通院(診療時間約2時間半)で上顎6前歯の治療を行いました。左上の犬歯はほぼ根しか残っていなかったためダイレクトクラウンにて対応しました。細部を見ると形態的に今後改善が必要な部位はありますが概ね満足していただきました。(2023/06/25)

前歯部審美症例 No.2

・治療前

・治療中

・治療後


 全顎的な治療を希望して来院された患者様です。まずは上顎6前歯の審美部位からの治療を希望されたため、多数歯の即日修復が可能なダイレクトボンディングにて治療を行いました。古いコンポジットレジンを除去すると、想定より大きく歯が欠損していました。う蝕検知液を用いてカリエスを選択的に除去し充填を行いました。1日(2〜3時間)で劇的な改善が得られるのがダイレクトボンディングの特徴です。仕上がりにも満足していただけました。(2023/07/07)

ダイレクトボンディング

 「ダイレクトボンディング」という言葉をご存知でしょうか?セラミック成分を主成分としたコンポジットレジンという材料を用いて、直接歯に接着し審美的な修復を即日実現する治療法です。近年、コンポジットレジンの材料学的性質の進歩と即日修復と高い審美性、最小限の切削量と再治療の簡便性から特に注目されている治療法です。東京医科歯科大学の田上順次教授のJT Conceptに従い当院でも積極的にダイレクトボンディングを取り入れています。このブログでは当院のダイレクトボンディングを簡単に紹介したいと思います。

① 術前:歯に合っていない銀歯(不適合補綴物)と銀歯と歯の隙間から清掃不良による虫歯が生じている(二次う蝕)。

② ラバーダム防湿:唾液の侵入と銀歯の飲み込み(誤嚥)を防ぐ目的で歯にゴムのシートを装着。開口を保持することが難しい場合はバイトブロックを使用します。

③ 不適合補綴物の除去:健康な歯を削らないよう注意しながら銀歯を除去します。


④ う蝕除去:う蝕検知液を用いて健康な歯を保存しながら虫歯のみを除去する。歯の色や硬さにも注意し、必要に応じて手用の器具(スプーンエキスカベーター)も使用します。

⑤ 隔壁の設置:適切なマトリックシステムを用いて、隣接面形態およびコンタクト圧を回復します。

接着操作:操作時間を遵守しエッチングおよびプライミング、ボンディングを行い、十分な光照射を行います。

⑥ 複雑窩洞の単純化:先に歯と歯の間をマトリックスシステムを用いて回復することにより、歯の修復を単純化する(2級窩洞→1級窩洞)。


⑦ 象牙質部位の充填:天然歯形態を考慮し、象牙質部位の充填を行う。審美性を高めるため、歯の立体感を得る目的で裂溝に着色(ティント)を行うこともあります。

⑧ エナメル質部位の充填:天然歯形態を考慮し、エナメル質部位の充填を行う。可能な限り天然歯形態を再現します。食渣の停滞を防ぐことも考慮します。

⑨ 形態修正と研磨:より良い予後および審美性を得る目的で形態修正と研磨を実施します。


・治療前

・治療後


 ダイレクトボンディングは臼歯部の治療だけでなく、外傷による破折歯や矮小歯、正中離開(すきっ歯)、テトラサイクリン由来の着色歯や失活による変色歯、歯周治療や矯正治療後の歯肉退縮によるブラックトライアングルの改善等に活用できます。歯を削る量は最小限で、しかも高い審美性と即日修復、仮に欠けたとしても欠けた部位だけ修復すれば良いという再治療の簡便性は大変有効です。さらに1歯の欠損や根だけになってしまいほぼ歯が残っていないような残根状の歯の修復が可能な場合もあります。ダイレクトボンディングの全てを保険診療で行うことは難しいですが、患者様にとってより良い治療の選択肢の一つだと考えます。興味がある方はお気軽にお問い合わせください。宜しくお願いします。

※症例は患者様の許可を得て掲載しています。

・2023/01/03公開

・2023/06/25更新

・2023/07/07更新